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クリスパー・キャス9(CRISPR-cas9)ノーベル賞(ノーベル生理学・医学賞)を受賞すると思われます。ジェニファー・ダウドナ(Jennifer Doudna)博士と、エマニュエル・シャルパンティエ博士と、石野良純教授
日時: 2017/08/09 15:28
名前: クリスパー・キャス9

クリスパー・キャス9(CRISPR-cas9)
http://gakumoninfo.seesaa.net/article/452554133.html

CRISPRとは「Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats」の頭文字をとった略称です。

クリスパー・キャス9(CRISPR-cas9)を使うと、生物のゲノム(DNAに記された全遺伝情報)を書き変えることができ、DNAの狙った場所をピンポイントで編集することが可能だそうです。

仕組みは、細菌にウイルスが侵入した場合、クリスパーとクリスパーの間に、ウイルス由来のDNA情報を取り込む。後に、同じウイルスが侵入すると、クリスパー間に収集した情報を基に、「キャス9(Cas-9)」と呼ばれる酵素が、ウイルス由来のDNAを切断・破壊する、とのこと。狙った遺伝子だけを切り取り、新たな遺伝子を組み込むこともできる技術です。

「ゲノム編集(ゲノムエンジニアリング)」は、生物の遺伝子を狙い通りに操作できる技術で、いわば生命の設計図を自在に書き換えることができるものです。これまでにも「遺伝子組み換え」と呼ばれる技術はありましたが、大きな違いは、「偶然」ではなく「狙い通り」に操作できる点です。


2012年6月に2人の女性研究者、米カリフォルニア大学バークレイ校のジェニファー・ダウドナ(Jennifer Doudna)教授と、フランス出身でスウェーデンのウメオ大学研究員のエマニュエル・シャルパンティエ(Emmanuelle Charpentier)研究員らの共同研究チームによって、CRISPR-cas9が開発され、生物の遺伝子を自在に改変できるゲノム編集に応用できることが証明されました。

遺伝子工学の革命的技術と評価され、ダウドナ博士もシャルパンティエ博士も、ガードナー国際賞やトムソン・ロイター引用栄誉賞をすでに受賞されているので、近い将来、ノーベル賞(ノーベル生理学・医学賞)を受賞すると思われます。


2017年には、「Japan Prize」(日本国際賞)も受賞。

授賞理由を以下に引用します。

 CRISPR-Casは本来、細菌や古細菌に備わったRNAで媒介される適応免疫のシステムであり、菌が移動性の遺伝物質(ファージやプラスミド)による侵入から自己を防御するために利用されている。一般的な原理としては、特定のゲノムを標的とする固有のスペーサーを含んだ短いCRISPR RNA(crRNA)分子が細胞内に発現しており、その認識部位を含む核酸分子が侵入したときに、crRNAがガイドとなってCasタンパク質が核酸分子を切断し分解に導く。現在までに、6つのタイプのCRISPR-Casシステムが見出されている

 エマニュエル・シャルパンティエ博士は、まず2011年に、化膿連鎖球菌等のII型CRISPR-Casシステムにおいて、crRNA の産生には、前駆体のリピート配列と塩基対を形成して菌のRibonuclease III酵素による切断を可能とする、trans-activating crRNA (tracrRNA)と名付けられた短いRNAが必要であるという一般性の高い機構を見出した。

 翌年、シャルパンティエ博士とジェニファー・ダウドナ博士は共同研究により、化膿連鎖球菌等のII型CRISPR-CasシステムのCas9が、tracrRNA 依存的にcrRNA に対合するDNAを正確に切断することを見出した。さらに彼女らは、tracrRNAとcrRNAを一緒にした一本鎖のガイドRNA (sgRNA)を人工的にデザインすれば、ゲノム上の任意の場所を編集できることを示し、これによってCRISPR-Cas9による遺伝子改変技術の基礎的概念を確立した。その後、両博士はCRISPR-Cas9複合体の構造を解明し、2種類の短いガイドRNAとCas9の相互作用の分子機構も明らかにしている。

 sgRNAの標的領域の近傍に特定の塩基配列(protospacer adjacent motif, PAM)が存在するという条件さえ満たせば、植物・動物を問わず、ゲノムを自在に編集できることから、CRISPR-Cas9は広汎な遺伝子操作に利用できる画期的な技術となった。近年、ZFNやTALENなどの人工制限酵素の開発により、標的遺伝子の改変が容易になりつつあったが、CRISPR-Cas9システムは、これらに比べてもはるかに効率の良い遺伝子操作技術である。遺伝子改変マウスの作製や、農作物や家畜の品種改良だけでなく、遺伝子治療などヒトへの応用も可能である。

 以上のように、CRISPR-Cas9のガイドRNAによる標的分解機構の発見者であり、かつ生命科学分野に多大な貢献が期待されるゲノム編集工学技術の発展の礎を築いた功労者であるエマニュエル・シャルパンティエ博士とジェニファー・ダウドナ博士は、「生命科学」分野における貢献を称える2017年日本国際賞にふさわしいと考える。



(*)使いやすく効率のよいゲノム編集技術を開発
http://goo.gl/PgCHJS

(*)CRISPR関連生体分子データ
http://www.ecosci.jp/CRISPR/

(*)A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22745249

(*)The new frontier of genome engineering with CRISPR-Cas9
http://science.sciencemag.org/content/346/6213/1258096




ところで、クリスパー(CRISPR)と呼ばれる遺伝子配列を最初に発見した人は、九州大学の石野良純(いしのよしずみ)教授で、大阪大学微生物病研究所で研究員だった1986年に、大腸菌の遺伝子解析をしていてたまたま発見したのだそうです。
当時は、クリスパー配列の働きまではわからなかったのですが、1990年代に塩基配列の解析が進むと、クリスパーが免疫機能と結びついていることがわかり、世界中でゲノム編集の研究が進み、石野教授の論文も引用されるようになりました。
クリスパーキャス9を開発したシャルパンティエ博士も、石野教授らの研究が、ゲノム編集で「はさみ役」のたんぱく質がDNAの配列にどう導かれていくのかなどの解明の礎になったと指摘していますので、石野良純教授もノーベル賞授賞の可能性があると思います。



石野良純「CRISPR/Cas その発見からゲノム編集技術への応用まで」(生物工学会誌 第94巻第6号)
https://goo.gl/vtd9hD

九州大学 蛋白質工学研究室(石野研究室)
http://www.agr.kyushu-u.ac.jp//lab/pce-web/
石野良純教授は現在、高温など特殊な環境に生きる古細菌の研究に取り組んでおられるそうです。



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